はじめに
『ゆなすみペア』の魅力や軌跡、今後の展望について詳しく解説します。二人のプロフィールから、フィンランドやチャレンジカップでの活躍、ライバルペアとの比較まで、ファン必見の情報満載です!
フィギュアスケートのペアで急成長している、長岡柚奈、森口澄士組(木下アカデミー)が今シーズンの海外初戦を迎えた。「ゆなすみ」の愛称で知られ、結成1年目の昨シーズンは、グランプリ(GP)シリーズNHK杯で国際大会デビューを果たし、全日本選手権で優勝を飾った。2023年世界選手権金メダルの三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)に続く、期待のペアが世界の舞台を駆け上がる。
ゆなすみペア プロフィール
長岡柚奈(ながおか ゆな)

長岡 柚奈
Yuna NAGAOKA
生誕 2005年7月13日(19歳)
北海道札幌市
身長 156 cm
出身校 藤女子中学校・高等学校
選手情報
代表国 日本
パートナー 森口澄士
コーチ 高橋成美
ブルーノ・マルコット
濱田美栄
ブライアン・シェールズ
所属クラブ 木下アカデミー
ペアとシングルの二刀流で経験を積んできた森口に対し、長岡はペア初挑戦。だが、メキメキと力をつけて、2023年11月のGPシリーズNHK杯で国際大会デビューを果たした。ショートプログラム(SP)で8位発進し、フリーはサイドバイサイドの3回転ループ-ダブルアクセル(2回転半)-ダブルアクセルの3連続ジャンプを着氷するなど90.03点をマーク。SPとの合計135.39点で8位になり、堂々と滑り切った。
12月の全日本選手権は、「りくりゅう」こと、三浦璃来、木原龍一組の欠場により、唯一の出場となったが、SPとフリーの両方でミスのない演技で、合計173.64点のシーズンベストを出して初優勝を飾った。
森口澄士(もりぐち すみただ)

森口 澄士
Sumitada MORIGUCHI
生誕 2001年12月29日(23歳)
京都府京都市
身長 174 cm
出身校 伏見中
京都両洋高
同志社大学
選手情報
代表国 日本
パートナー 長岡柚奈
コーチ 高橋成美
ブルーノ・マルコット
濱田美栄
ブライアン・シェールズ
所属クラブ 木下アカデミー
世界選手権を逃した悔しさが次につながる
年明けからはバヴァリアンオープン(ドイツ)とチャレンジカップ(オランダ)に立て続けに出場し、世界選手権に出場するためのミニマムスコア(最低技術点)獲得に努めた。だがプレッシャーとの戦いは想像以上だった。SPの最低技術点にわずか2・83点届かず、世界選手権への切符を逃した。
「プレッシャーの中でいい演技をするのがどれだけ難しいか、どうやったらプレッシャーを乗り越えられるかを経験できました」と長岡。「昨シーズンの一番の目標がかなえられなかったのは本当に悔しかったですけど、世界選手権に出るために2人で頑張って練習してきたその過程が本当に大事だっていうことをコーチに言ってもらえて。私たちもそれを自覚してるので、これからに生かせると思います」と、前を向いた。
森口は「たくさんのその試合にまず派遣していただいて、いい経験ばっかりでした。たくさん緊張を感じたり、プレッシャーを感じたり、難しいところにチャレンジしてきたシーズンで、すごく充実していました」と振り返った。
ゆなすみペア結成のきっかけ
ゆなすみペアは、2023年5月にトライアウト(技能試験)で組んだことをきっかけに結成されました。長岡選手は中学2年頃からペアに興味があり、森口選手は長岡選手のスケートの上手さと直感的にペアでの可能性を感じたことがきっかけで、ペアを結成することになりました。
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この1年間の2人の急成長ぶりには驚くばかりだ。シングルからペアに転向した長岡にとっては、スロージャンプもツイストリフトもデススパイラルも、初めてづくしだった。ブルーノ・マルコット・コーチや森口、三浦・木原組に基礎から教えてもらい、一つひとつ技術を吸収していった。
半年後には2回転のツイストリフト、サルコーとループの2種類のスロートリプルジャンプをプログラムに入れられるまでのレベルになった。長岡は「トリプルツイストとかデススパイラルとか、もっと技術を吸収していかないといけないと思うので、これからどんどん成長していきたい」と目を輝かせる。
森口は長岡の急成長について、「カップル競技は片方ではなく、2人がどう吸収できるか。ブルーノ先生との相性もよくて上達できた。日本にコーチがいない分、自分たちで研究するというか、自分の動作を映像で見て、もっとこうだなとか、ポジティブに話し合いができている」と説明する。
森口はシングルで全日本選手権7位に入るなど国内上位レベルにありながら、今春に同志社大学を卒業してからはペアに専念した。長岡はそんな森口に対し、感謝の気持ちでいっぱいだ。「シングルですごい才能も成績も持っていたのに、ペア一本にかけてくださったのが本当にありがたいです」
互いのリスペクトが短期間での成長につながっているのかもしれない。
世界選手権出場、そして26年オリンピックへ
高校を卒業した長岡は大学に進学せず、競技に集中する道を選んだ。「澄くんが大学を卒業して練習にかけられる時間が増えたので、ミラノ(・コルティナ・ダンペッツォ・オリンピック)を目指すなら、たくさんの練習、密度が高い練習をしていきたいと思いました。いま大学に入るよりも、目標が一区切りしたときに入るのもいいのではないかと考えています」
3回転ツイストリフトの習得やスロートリプルジャンプの種類の増加など、世界レベルで戦うための課題はたくさんある。一方、強みであるサイドバイサイドのジャンプやリフトはさらに伸ばしていく。
森口は「一つ一つのクオリティーを上げて、もっと2人のスケーティングのユニゾンを高めて、世界選手権に出場するのはもちろん、結果もしっかり残していきたいです」。長岡も「一つ一つの大会にしっかり目標を持って、満足できるような大会が昨シーズンより増えるといいなと思います」と意気込んだ。
新しいSPは「Goodbye yellow brick road」、フリーは「Space Table Symphony」を継続する。いずれもキャシー・リード・コーチが振り付けし、よりユニゾンを高めたプログラムに仕上げている。
9月初めにチャレンジャーシリーズ(CS)の「ジョンニックス・インターナショナル・ペア・コンペティション」で今シーズン初戦を迎えた。今年11月のGPシリーズ第4戦NHK杯にも出場を予定している。来年3月にアメリカ・ボストンで開かれる世界選手権出場に向けて練習を積んでいく。
もともと個人のレベルが高い2人だけに、ペア技術の習得が進み、ユニゾンが高まれば一気に世界レベルに達するだろう。りくりゅうペアに続く世界的なペアを目指して。「ゆなすみ」の成長ぶりから目が離せない。
ゆなすみペアの軌跡
国内大会での成績
ゆなすみペアは,発足初年度の2023-24シーズンは全日本選手権で優勝し、2024-25シーズンも全日本選手権で2位と安定した成績を残しています特に2024年12月の全日本選手権ではショートプログラム(SP)で自己ベストとなる61.82点を記録し、ファンタジーの2位発進を果たしました。
大会名 | 年度 | 順位 | 総合得点 |
---|---|---|---|
全国選手権 | 2023-24 | 1位 | 173.64 |
全国選手権 | 2024-25 | 2位 | 176.68 |
国際大会での活躍
国際舞台でも決めに存在感を高めています。 2024-25シーズンにはNHK杯(グランプリシリーズ)で7位、フィンランド大会で6位、四大陸選手権で7位出場賞。 特に四大陸選手権では総合174.76点で自己ベストを更新し、初出場で入賞を果たしました。
また、世界選手権の出場に必要なミニマムスコアもクリアし、世界トップレベルへの挑戦権も獲得しています。
大会名 | 年度 | 順位 | 総合得点 | SP得点 | FS得点 |
---|---|---|---|---|---|
四大陸選手権 | 2024-25 | 7位 | 174.76 | 57.29 | 117.47 |
フィンランド大会 | 2024-25 | 6位 | 171.80 | 51.75 | 120.05 |
NHK杯 | 2024-25 | 7位 | 172.47 | 60.32 | 112.15 |
チャレンジカップでの成績
2024年2月のチャレンジにも出場し、世界選手権出場に必要な技術点(ミニマムスコア)取得を目指しました。 フリーでは基準をクリアしたもの、ショートではほんの少ししか分からず、悔しくて世界選手権の切符は持ち越しとなりました 。しかし、このその後の成長につながっています。
フィンランドでの試合について
2024年11月、グランプリシリーズ第5戦フィンランド大会(フィンランディア杯)に初出場しました。SPではミスが出て8位と出遅れましたが、FS(フリー)ではパーソナルベストとなり120.05点を記録し、フリー3位の快挙。総合171.80点で6位に食い込みました。
これは当初出場予定ペアの欠場を受けて急遽決まったもので、全日本選手権予選、NHK杯に続く3連戦の最後という厳しい日程でした。長岡選手はSPで悔しさを大会にしましたが、森口選手の応援もあり、FSで見事な巻き返しを見せました。
これまでのベストパフォーマンス、印象的な試合ベストパフォーマンス
2024年フィンランド大会フリーでの120.05点(FS3位)は、自己ベストを大きく更新した印象的な演技でした。
2024-25四大陸選手権での総合174.76点(自己ベスト)と7位入賞も大きな成果です。
2024年NHK杯SPでの自己ベスト60.32点も、世界選手権ミニマムスコア突破という大きな節目となりました。
印象的な試合・エピソード
フィンランド大会ではSP後に長岡選手が悔し涙を流すシーンもありましたが、森口選手のアドバイスと支えで気持ちを切り替え、FSで大きな成長を見せました。
日本選手権2023-24での初優勝は、結成1年目での快挙として大きな話題となりました。
「完璧な演技ではなかったけど、こうしてパーソナルベストを上げてよかった」
― 長岡柚奈(フィンランド大会フリー後のコメント)
「自分たちは、まだまだ上にいきたい」
― 森口澄士(フィンランド大会後のコメント)
特に2024-25シーズンは自己ベストをとりあえず更新し、世界のトップペアと肩を並べる存在に成長する。 今後の前進が期待される日本ペア界のホープアップです。

ゆなすみペアの魅力
二人の相性、信頼関係
ゆなすみペア(長岡柚奈&森口澄士)は、2023年に誕生されたばかりのペアながら、現時点では抜群の相性と強い信頼関係を稀有しています。森口はペア経験者、長岡はペア初心者という経験の違いがありますが、誕生当初から「リフトとかとてもうまい選手」と長岡を高く評価し、数日で複数のリフトを成功させるなど、技術面でも息の合った滑りを見せています。
例えば、長岡は「リフトが怖くないのは森口くんが絶対に落とさないと信じているから」と語り、森口も「最高のほめ言葉」と応じるなど、ポイントをリスペクトし合う関係性がである。
リンク外での関係性
リンク外でも、森口の穏やかで礼儀正しい人柄や、長岡の明るさが好印象を与えています。例えば、名前を間違えられても穏やかに訂正する森口の姿勢や、二人で冗談を交えながらインタビューに応じる様子が、ファンや関係者からも高く評価されています。
ファンを惹きつける理由
演技の成長速度が非常に早く、1ヶ月で大幅な得点アップや完成度の向上を見せている点が「目が離せない」「成長速度すごい」とファンの注目を集めています。
若々しいエネルギッシュな演技や、コミカルなエキシビションなど、観客を楽しませる表現力も魅力です。
まだ経験が浅い分、これからの成長しろや挑戦する姿勢に、応援したくなる「希望」や「期待」を感じさせます。
憧れの先輩「りくりゅう」ペア(後述)へのリスペクトを公言し、「一緒に世界選手権に出よう」と励まし合い姿勢も共感を呼んでいます。
ゆなすみペアとライバルペア
ペア名 | 特徴・実績 | 技術・表現力 | ゆなすみペアとの比較(強み・個性) |
---|---|---|---|
さえルカペア (清水咲衣・本田ルーカス剛史) | りくりゅうに次ぐ実力派。 | 技術力・表現力共に高く、安定感。 | ゆなすみは成長速度とフレッシュな表現が魅力です。 |
りくりゅうペア (三浦璃来・木原龍一) | 世界選手権金メダル、グランドスラム達成 | シングルトップ選手並みの技術、完成度 | ゆなすみは挑戦者としての伸びしろが強み。 |
さえルカペア
サエルカペアは、日本ペア界のトップランナーであり、世界選手権優勝やグランドスラムなど数々の実績を持ちます。技術力はシングルトップ選手並みで、特にサイドバイサイドやリフトの完成度が高く、演技の表現力や安定感も抜群です。
りくりゅうペア
りくりゅうペア(三浦ガラス来&木原龍一)は、日本ペア史上初の世界王者となった実力派。技術・表現力ともに世界トップレベルで、息を合わせた演技や細部までこだわった完成度が特徴です。国際大会の経験値も豊富で、日本のペア競技の代表的な存在となっます
ゆなすみペアの強み・個性
ゆなすみペアは、技術や実績ではまだトップペアに及ばないものの、抜群の相性と信頼関係、急成長のスピード、そして観る者を引き込む明るさとチャレンジ精神で、日本ペア界に新たな風を吹き込んでいます。 今後の成長と活躍が期待される存在です。