豊田利晃監督の半生が凄すぎる!
大阪生まれの将棋少年が映画界に飛び込み、『ポルノスター』で日本映画監督協会新人賞を受賞してから、波乱万丈のキャリアを積み重ねてきた鬼才です。
2025年公開の最新長編『次元を超える』が、第54回ロッテルダム国際映画祭をはじめ世界中の映画祭で絶賛され、日本人監督としてシッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀監督賞を受賞するなど、国際的に再評価の嵐。窪塚洋介×松田龍平のW主演で、時間と空間を超越した壮大な人間ドラマを描き、映画人生の集大成とも言われています。
将棋奨励会から脚本家デビュー、逮捕歴や多くの喪失を乗り越えながら『青い春』『ナイン・ソウルズ』『泣き虫しょったんの奇跡』を生み出し、近年は「狼蘇山シリーズ」で自主制作を続け、『生きている。』などの短編で「生きるとは何か」を問い続けてきた豊田利晃。
豊田利晃ってどんな人?基本プロフィール
豊田利晃(とよだ としあき)は、1969年3月10日生まれ(現在56歳)の大阪府大阪市東成区出身の映画監督・脚本家。将棋奨励会出身の異色の経歴を持ち、波乱万丈の半生を映画に昇華させてきた鬼才です。デビュー作『ポルノスター』で日本映画監督協会新人賞を受賞し、『青い春』『ナイン・ソウルズ』『泣き虫しょったんの奇跡』などで独自の世界観を築き、近年は自主制作の狼蘇山シリーズや最新作『次元を超える』で国際的に再評価されています。
大阪生まれの将棋少年時代(9歳〜17歳)
9歳で関西将棋奨励会に入会。将棋棋士を目指して厳しい修行を積みましたが、同期に村山聖九段や佐藤康光九段(永世棋聖資格者)ら天才がいたため、自分の限界を悟り、17歳で自ら退会。将棋を二度と指さないと決意し、映画の世界へ転身しました。この経験は後の作品、特に『泣き虫しょったんの奇跡』(瀬川晶司棋士の実話映画化)で活かされています。
阪本順治監督『王手』で脚本家デビュー(1991年、21歳)
奨励会退会後、自身の将棋体験を基に原作・脚本を執筆。阪本順治監督の『王手』(1991年)で脚本家デビューを果たしました。大阪を舞台に将棋界の若者の苦悩を描いた作品で、映画界への第一歩となりました。その後、阪本監督の『ビリケン』(1996年)でも脚本を担当し、着実にキャリアを積み重ねます。
波乱の私生活と映画への執念
豊田利晃の人生は波乱続き。2005年には覚醒剤取締法違反(所持)で逮捕され、有罪判決(執行猶予)を受け、『空中庭園』の公開が危ぶまれましたが、作品は無事公開。2019年4月には拳銃不法所持(銃刀法違反)で逮捕されましたが、拳銃は父の形見(祖父の戦時中護身用で錆びついたもの)で不起訴処分に。この事件後、「映画で返答する」として短編『狼煙が呼ぶ』を即座に製作し、自主映画の狼蘇山シリーズを加速させました。多くの喪失や挫折を乗り越え、「生きているとは何か」を問い続ける執念が、豊田作品の核心です。
衝撃の監督デビュー『ポルノスター』と新人賞受賞
豊田利晃が30歳で放った監督デビュー作『ポルノスター』(1998年公開)は、渋谷の裏社会を舞台にしたバイオレンス映画として衝撃を与えました。主演は当時若手のお笑い芸人・千原ジュニア(千原浩史)。ヤクザを躊躇なく刺し殺す謎の青年「荒野」と、ヤクザに憧れながらも抗うチンピラ「上條」の危険な出会いを描き、90年代後半の東京の狂気と無秩序をリアルに切り取った作品です。音楽はロックバンドdipが担当し、豊田作品の常連となるスタイルの原点となりました。
1998年、千原ジュニア主演でバイオレンス映画を発表
1998年、豊田利晃は脚本家から一転、初監督作品として『ポルノスター』を発表。千原ジュニアを主演に抜擢したのは、昔からの知り合いだったことが大きいです。物語はシンプルながら強烈:正体不明の青年・荒野がヤクザを次々と殺し、組長の命令で始末を命じられたチンピラ・上條との奇妙な交流が展開。渋谷の街角で繰り広げられる暴力と孤独が、世紀末の若者の苛立ちを象徴的に描き出しました。当時の渋谷はマジックマッシュルームが道端で売られるような混沌とした時代で、映画はその空気をダイレクトに反映。脇を固める渋川清彦(映画デビュー作)、杉本哲太、広田レオナ、麿赤兒らの演技も光り、バイオレントな青春映画として話題を呼びました。

日本映画監督協会新人賞&みちのく国際ミステリー映画祭新人監督奨励賞
デビュー作ながら即座に評価を獲得。1998年の日本映画監督協会新人賞を受賞し、同年の第3回みちのく国際ミステリー映画祭(1999年開催)では新人監督奨励賞をダブル受賞しました。これにより、豊田利晃は一気に注目される新人監督となりました。特に日本映画監督協会新人賞は、後のキャリアの基盤を固める重要な栄誉。『ポルノスター』は「渋谷の裏風景をレアに描写した衝撃作」として、映画祭関係者から高く評価されたのです。この受賞が、続く『青い春』『ナイン・ソウルズ』への道を開きました。
当時の渋谷裏社会をリアルに描いた衝撃作の背景
『ポルノスター』の衝撃は、90年代後半の渋谷の実態を忠実に映し出した点にあります。当時の渋谷はチーマー(暴走族系不良)やヤクザ、半グレが跋扈し、道端でドラッグが売買される無法地帯のような雰囲気。豊田自身が上京後スクランブル交差点の無関心さに衝撃を受け、取材でオウム残党やチーマーのボスらと接触した経験が反映されています。「ヤクザはいらん」というセリフは実際に耳にした言葉だそう。映画はファンタジーではなく、当時のリアルな「東京の狂気」を描いたドキュメンタリー的側面が強く、観る者に強烈なインパクトを与えました。この作品が豊田利晃の「孤独を刃に変える若者」というテーマの原点となり、後の狼蘇山シリーズや『次元を超える』へと繋がっています。
代表作で築いた唯一無二の世界観
豊田利晃の映画は、青春の閉塞・孤独・暴力、家族の崩壊と再生、「生きる意味」を一貫して描く。松田龍平ら常連俳優との静謐で緊張感あるスタイルが特徴で、商業から自主へ移っても「人間の痛みと祈り」が変わらない。
『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年)で再評価
豊田監督自身の将棋奨励会経験を投影した実話映画。松田龍平主演で、瀬川晶司(しょったん)の奨励会退会後の挫折から、32年越しにプロ棋士編入試験に挑む奇跡を描きます。26歳の年齢制限という壁を乗り越え、アマチュアからプロへ転身した男の執念と周囲の支えが感動を呼ぶ内容。
監督がかつて「将棋は二度と指さない」と決意した過去を、瀬川の再生物語に重ねており、涙腺を刺激するシーンが満載。公開時は豊田監督の逮捕騒動で一部上映中止となったものの、Filmarksなどで高評価(平均4.1前後)。「挫折からの再生」というテーマが、監督の半生と重なり、再評価のきっかけとなりました。この作品で、豊田利晃は「祈り」と「信念」の作家として、国際的にも注目を集め直しました。
これらの代表作を通じて、豊田監督の世界観は「孤独を刃に変える人間」「死と生の狭間」「家族の崩壊と再生」へと深化。最新作『次元を超える』でその集大成が爆発しています。
狼蘇山シリーズの誕生と「生きている。」の衝撃
2019年から豊田利晃監督が毎年夏に発表する自主短編シリーズ「狼蘇山シリーズ」。狼信仰(狼蘇り信仰)を軸に、時代・社会の混沌に真正面から挑み、祈りと信念で「生きる意味」を問い続ける。拳銃不法所持事件後の「映画で返答する」姿勢から始まり、コロナ禍・オリンピック延期などの現実を反映。切腹ピストルズの音楽が一貫して象徴的で、渋川清彦・窪塚洋介ら常連俳優が登場。最新作『次元を超える』の基盤となったシリーズです。
2019年『狼煙が呼ぶ』から始まった自主制作シリーズ
019年、拳銃不法所持逮捕(不起訴)後のアンサーとして製作。16分の短編時代劇で、渋川清彦・浅野忠信・高良健吾・松田龍平が出演。少女が蔵で古い拳銃を見つけ、過去の因果が蘇る物語。全国50館同時公開を達成し、シリーズの起点に。監督は「想像力の自由のために」とコメント。狼信仰を背景に、権力 vs 想いの対立を描き、以降毎年夏に新作を発表する流れが生まれた。
『破壊の日』『全員切腹』『生きている。』『ここにいる。』
◎『破壊の日』(2020):コロナ禍で中止されたオリンピック予定日(7/24)に公開。渋川清彦・マヒトゥ・ザ・ピーポー・イッセー尾形出演。疫病と破壊のテーマで、監督賞受賞。
◎『全員切腹』(2021):窪塚洋介主演。権力への抵抗を描き、切腹ピストルズ・鼓童音楽。
◎『生きている。』(2022):渋川清彦主演。18分の短編で、神社の祭りに暴れ狂う男の姿を描く。
◎『ここにいる。』(2023):渋川清彦主演。地方移住・存在の問いを詩的に。
これらを再編集した長編『そういうものに、わたしはなりたい。』(2025)も公開。毎年7/24前後にイベント上映し、ライブやトークを交えた「祭り」形式が特徴。
コロナ禍で生まれた「生きている。」のテーマと切腹ピストルズ音楽
コロナで祭り(おとう祭り)が中止になった中、原田芳雄らが愛した火祭りを映画で再現。生きている実感を問う衝撃作で、「生きているのかいないのか、それは自分だけが知っている」と監督。向井秀徳の音楽、エンドロールは切腹ピストルズが担当。シリーズ全体で切腹ピストルズ(総隊長・飯田団紅)が音楽・出演を担い、狼信仰の曲「狼信仰」など極音が祈りと混沌を増幅。パンデミック下の「生きる意味」を体現し、観客に強烈なカタルシスを与えた。
最新作『次元を超える』が世界を震撼させた理由
豊田利晃監督の7年ぶり長編フィクション『次元を超える』(2025年10月公開)は、狼蘇山シリーズの集大成。窪塚洋介×松田龍平W主演で、次元を超えた壮大な人間ドラマが炸裂!低予算ながら宇宙規模のスケールと実験性で世界を熱狂させ、「体感せよ!」の衝撃作として映画館を震わせました。
7年ぶりの長編フィクション、窪塚洋介×松田龍平W主演
『泣き虫しょったんの奇跡』以来7年ぶりの長編。狼蘇山シリーズ総決算として、孤高の修行者・山中狼介(窪塚洋介)と謎の暗殺者・新野風(松田龍平)が次元を超えて対峙。千原ジュニア、芋生悠、渋川清彦、東出昌大、板尾創路、祷キララ、窪塚愛流(声)、飯田団紅らが集結。The Birthdayのエンディングテーマ「抱きしめたい」が13年ぶりに響き、豊田の“祈り”が全開の化学反応を生んだ。
第54回ロッテルダム国際映画祭ワールドプレミア&絶賛の嵐
2025年2月、第54回ロッテルダム国際映画祭Harbour部門でワールドプレミア。チケット即完売の大盛況!「前代未聞の体験」「ぶっ飛んだ映画」と海外観客が熱狂。ヨーロッパ・アジア・アメリカの映画祭を震撼させ、豊田監督の「最後のつもりで作った」覚悟が世界に共鳴した。
シッチェス最優秀監督賞受賞!次元を超える壮大な物語とは
第58回シッチェス・カタロニア国際映画祭「ニュービジョン」部門で、豊田利晃監督が日本人初の最優秀監督賞受賞!実験性・革新を評価され「観客に答えを委ねる映画」として絶賛。
物語:恋人から依頼された暗殺者・新野風(松田)が、行方不明の修行者・山中狼介(窪塚)を追う。法螺貝に導かれ狼蘇山で対面し、鏡の洞窟で次元を超え、日本→地球→宇宙へ。輪廻・喪失・超越を問い、人間の本質をえぐる究極の旅。SF・ホラー・コメディが融合し、「言語化不能、体感せよ!」の声が殺到する新境地傑作です。
豊田利晃の半生が凄すぎる理由まとめ
将棋奨励会から映画界へ転身し、デビュー作で新人賞を獲得。逮捕・不起訴の危機を「映画で返す」執念で乗り越え、最新作『次元を超える』で国際映画祭を制覇。波乱万丈の半生をすべて作品に昇華させた鬼才・豊田利晃。その凄さは、挫折を祈りに変える「生きる執念」に尽きます。
これからも映画館を震わせ続ける鬼才
『次元を超える』で「最後のつもりで作った」と語った豊田利晃。しかし彼の執念は尽きない。狼信仰、切腹ピストルズの極音、窪塚・松田の共演、宇宙規模の問い――これからも予測不能な新作で映画館を震撼させ続けるはず。
豊田利晃は、ただの監督じゃない。生きることそのものを映画で証明し続ける「祈りの鬼才」。次の一撃を、心して待とう。


